いちはら埋文講座 第5回
「貝塚整理作業体験 2 −動物や魚の骨を調べる−を開催しました

 平成23年10月15日(土)に第5回いちはら埋文講座を開催し、23名の皆さんにご参加いただきました。
 今回のテーマは、昨年度に引き続き「貝塚整理作業体験」。講座で用いたのは「西広貝塚」の貝層サンプルから水洗選別された資料です。
 貝塚のなかにはどんな魚や動物の骨が隠されているのか。市内に暮らした縄文時代の人たちの食生活の一端を解き明かしてみました。
 
展示の様子  会場には、「西広貝塚」で行った整理作業の方法をパネルで紹介したほか、魚骨・獣骨などの標本資料を展示しました。
選別資料に見入る受講生  貝塚の整理では、貝塚の持つ豊富な情報を見逃さないように、フルイを使って水洗選別する方法が一般的になっています。
 この方法によって、発掘中に見落としてしまった石器や小動物の骨などが、多く発見されるようになりました。
会場の様子  9歳のお子さんから70代まで、幅広い年代の皆さんに参加していただきました。
 西広貝塚と貝塚の整理作業方法について簡単に説明したあと、いよいよ体験のはじまりです。
会場の様子  まずは4ミリメッシュのフルイに残った資料の分類です。
 破片になっていると、魚と獣の骨の区別さえ難しかったようです。
魚の骨を選別する受講生  土器に混じって、魚の骨がかなり入っています。
 骨格標本や骨格図と照合したところ、クロダイが最も多く、スズキ・コチ・サメ類などが含まれていたことがわかりました。
骨を拾い出す受講生  次は1ミリメッシュのフルイに残った資料の分類です。
 ルーペをのぞきながら、小さな骨や貝を拾い出していきます。
 集計された表やグラフには見えてこない、地道で大変な作業です。
拾い出された小魚の骨  アジ・キス・マイワシなど、小魚の骨が含まれていました。
 この大きさになると、発掘調査の段階で見つけ出すのは困難です。
未来の動物考古学者  小学校3年生のふたりも真剣です。こちらが感心するほどの集中力を見せてくれました。
 まるで未来の「動物考古学者」です。

骨格標本を手にする受講生  最後は発掘調査時に取り上げられた獣骨を調べました。
 「これってシカの大腿骨?」
 皆さん自分の体に骨を当ててみたりと、興味津々な様子でした。
 昨年度は貝の分類、今年度は骨の分類と、2か年にわたって貝塚整理作業の基礎をひととおり体験しました。今回の骨の分類はかなり難易度が高かったようですが、受講生の皆さんには楽しんでいただけたようです。
 今度は東京湾の干潟へ、縄文時代の人たちがたくさん食べたイボキサゴという貝を採りに行ってみたいですね。


平成23年度 いちはら埋文講座の日程はこちら