遺跡ファイル

古墳時代前期前半
〜中期前半
草刈3号墳 くさかり
草刈3号墳周溝下層遺物出土状況(財団法人千葉縣文化財センター1994より)
草刈3号墳周溝下層遺物出土状況((財)千葉県文化財センター1994より)<画像クリックで拡大>

 草刈3号墳は村田川下流域右岸に位置する墳丘径35mを測る大型の円墳です。180基を超える草刈古墳群中最大規模の円墳で、同規模の古墳に草刈1号墳があります。
 3号墳からは多種多様な遺物が出土していますが、その中でも、周溝内から、土器が多量に出土していることが特筆されます。土器は古墳の造営時期とみられる下層と、古墳時代中期前半とされる上層とに分けられ、その数は200個体を超えます。
 下層の遺物は甕が主体を占め、大廓式と呼ばれる東海東部系の壺や、その影響を受けた土器が出土するなど特徴的なあり方を示しています。また、貝層や動物骨が焼土を伴って出土していることから、なんらかの儀式が行われたとされます。
 他にも、墳丘下に造営直前に造られ廃棄された方形の竪穴遺構が2基検出されていたり、千葉県では2例しか出土例のない滑石製腕飾や、草刈型土器と呼ばれる赤焼の須恵器の出土など、ここから得られる情報は多岐にわたります。
 本墳は、古墳時代前期〜中期という時期に、古墳造営や再利用という人々の営為が、明瞭に痕跡として残った貴重な古墳といえるでしょう。

『千原台ニュータウン VI−草刈六之台遺跡−』 (財)千葉県文化財センター 1994
『千葉県の歴史』資料編 考古4(遺跡・遺構・遺物) 千葉県 2004