遺跡ファイル

古墳時代前期 釈迦山古墳 しゃかやま
 釈迦山古墳は、姉崎神社の南側の台地上に築かれた前方後円墳で、姉崎古墳群を構成する1基です。墳丘の全長は93m、後円部の高さが12mに及ぶ、市原を代表する大型古墳のひとつです。
 1995年に墳頂部の確認調査が行われ、埋葬施設が全長9.1m、幅1.6mの粘土槨であることが判明しています。 
図1 釈迦山古墳の墳丘 小林1996より
図1 釈迦山古墳の墳丘 小林1996より
図2 埋葬施設上面で検出された土器と鉄器 白井2003より
図2 検出された土器と鉄器 白井2003より
 調査は墳丘表面を対象にしたものでしたが、埋葬施設周辺から蛇紋岩製の管玉7点や土師器の高杯(図2左上2点)などが出土しています。出土土器の形状は古墳時代前期中頃の特徴を示していますので、釈迦山古墳は約1700年前に築かれたと考えられます。
 姉崎古墳群には他に姉崎天神山古墳という、やはり大型の前方後円墳があり、こちらは発掘調査されていませんが、立地や墳丘の形状から前期に属する可能性が高いと考えられています。両者の築造順序や、大型前方後円墳である今富塚山古墳、先駆的な古墳である神門3号墳の築造時期との時間差が気になるところです。 

小久貫隆史 1996『市原市釈迦山古墳発掘調査報告書』千葉県教育委員会
白井久美子 2003「姉崎古墳群」『千葉県の歴史』資料編 考古2(弥生・古墳時代)県史シリーズ10 千葉県