報告書名では土宇遺跡と呼称された遺跡は、ゴルフ場造成のさい調査され、現在では馬立塚ノ台遺跡とされています。
現養老川河口から15kmほどの上流右岸に位置し、標高50mから70mの台地上にあります。
養老川氾濫原の沖積地とは、現在40m近い比高差がありますが、北側の土宇下原遺跡の調査成果から、約2万5千年前は現標高40m付近に養老川が流れていたことがわかっています。
遺跡は中位段丘面にあり、南側は妙香川に開削されています。
おそらく川沿いには疎林があって動物の水場があり、周囲から一段高い低地を見下ろす狩りのキャンプに適した立地となっていたでしょう。
採集された黒曜石製の掻器や削器は、そうした獲物の解体に使用され、残されたものと考えられます。
氷河期の寒い乾燥した環境の中でも、我々人類の祖先たちは逞しく日々の生活を送っていたのです。 |