遺跡ファイル

縄文時代後期〜晩期 祇園原貝塚 ぎおんばらかいづか
 祇園原貝塚は縄文時代後期から晩期にかけての遺跡です。現在の市役所の東側に位置し、上総国分尼寺の下層にあたります。
 発掘調査では、竪穴住居跡51棟などの遺構と遺物包含層が検出され、それらから大量の縄文土器、土製品石器が出土しています。
 検出された貝層は竪穴住居跡などのくぼみに形成されたものをのぞけば密度は低く、全体的に薄い堆積です。これは、おそらく奈良時代に上総国分寺を建立する際に大規模な整地がおこなわれたためでしょう。
 整理作業の結果、縄文時代後期から晩期にかけての集落の変遷や埋葬形態の多様性を把握できるなどの成果があがり、また、貝層サンプルの分析から当時の食生活の一部を明らかにすることができました。
 なお、祇園原貝塚の近くには、柄鏡形住居を検出した北野原遺跡や、ほぼ同時期に形成された西広貝塚もありますので、これらを比較することで興味深いことがわかるかもしれません。

『祇園原貝塚』市原市教育委員会 1999年
『発掘いちはらの遺跡 市原の大貝塚 2』 2008年